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アスモ・たんぽぽ新聞171号

アスモ・たんぽぽ新聞第171号 トピック

「子どもたちに『働くイメージ改革』を」

花堂  所属する奉仕団体の要請で、数年前より中野区内の中学校で講話をする活動をしています。本日3度目の講話を行う予定ですが、学校からは「仕事の素晴らしさや社会に出ることが楽しみになるような話をしてほしい」と求められています。

  生徒に仕事をする意味やイメージを聞いてみると、
「お金を稼ぐためにするもの」「つらいけど我慢するもの」と答える子どもがほとんどです。
日本人は戦後の焼け野原から豊かな未来を夢見て、物質的には何もかも手に入れたのですが、お金を稼ぐこと以外の、働く意味を見失ってしまったのか。あるいは私たちが働くことの意味や素晴らしさを子どもたちに語ってこなかったのではないだろうか。そんなことで、子どもたちには「働くことのイメージ改革」が必要ではないかと思い、介護のお仕事だけではなくいろいろな角度からお話するようにしています。

 そこでよく例に出すのが、以前ここでもご紹介した木下晴弘著「涙の数だけ大きくなれる!」のスーパーのレジ係の女性のお話です。 

その女性は、就職するも長続きせず、転職を繰り返します。理由は「嫌いな上司がいるから」「自分には合わないから」等々。
 ある日、田舎の母親から「もう帰っておいで」と電話があります。その時はスーパーのレジ打ちの仕事をしていました。母親の言葉に後押しされ、部屋の整理をしていると子どものころに書いた日記が出てきます。「私はピアニストになりたい」と書かれている頁に目が留まります。飽きっぽくて何をしても長続きしなかった彼女が唯一続いたのがピアノだったのです。
 希望に燃えて毎日頑張っていた少女時代の「私」が、大人になった「私」を叱咤激励しているように思えました。彼女は田舎の母親に電話をし、「もう少しここで頑張る」と伝えたのです。

 彼女が心に決めたこと。それはレジ打ちを極めることでした。当時は今のレジ打ちとは違い、金額を手で打ち込むタイプのレジです。
 「私はピアノをやっていた。鍵盤をたたく要領でキーの位置を覚えれば早く打てるのではないか」
 数日もするともの凄いスピードでキーを打てるようになります。すると今まで見えなかったものが見え始めたのです。「この人はよく高い商品を買う」「この人はよく閉店間際に来る」等々。
 ある日、よく来るおばあちゃんのカゴに、5,000円もする尾頭付きの鯛が入っていました。思わず彼女は「今日は何か良いことがあったのですか?」と尋ねます。「孫が水泳で賞を獲ったんだよ。今日はお祝いするの」「おめでとうございます!」と、自然に会話することができたのです。

 このことをきっかけに、彼女は右手で猛スピードでレジを打ちながら会話をするようになり、初めて仕事が「楽しい」と感じたのです。

 ある日のこと。店長の店内放送が流れます。「本日は混み合っています。空いているレジにお回り下さい」見ると五つのレジのうち彼女のレジにだけ行列ができていたのです。店長が他のレジに行くように促すと、お客が「私は買い物だけをしに来ているんじゃないの。あの子と話したくて来ているんだからここでいいの!」
 レジ打ちを極めた彼女は多くのファンを獲得し、気がつけば彼女にしかできない仕事をしていたのです。

 このレジ打ちの女性のお話は、仕事を意味あるもの、楽しいものにするのも自分の心一つということを教えてくれているのだと思います。

 大人代表として、今日も子どもたちにこんな話をしていきたいと思います。

アスモ・たんぽぽ新聞 過去分

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2012(平成24)年  76号~87号 ▼
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